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旅と切手と、切手と旅と~kalalokki's memorandum

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ドイツ旅行記 番外編 ②~Codex Manesse


ボーデ博物館のミュージアムショップで出会ったインゼル文庫のマネッセ写本はドイツ土産として従姉の手に渡り、もはや私の手元にありませんが、日本ではあまり馴染みのないこの『マネッセ写本』について折角の機会なのでもう少々触れておきたいと思いまして…ミースに続き、2度目の番外編です。


マネッセ写本は14世紀頃、チューリッヒの貴族マネッセ家の発注により中世ドイツ語(現代ドイツ語すら理解できないのに、ましてや中世ドイツ語なんて…)で書かれた宮廷詩人の詩集で、正式名称は『大ハイデルベルク歌謡写本 Große Heidelberger Liederhandschrift』というのだそうです。

原本はドイツのハイデルベルク大学図書館が所蔵(1888年、当時原本を保管していたパリ王立図書館から、ハイデルベルクが大枚はたいて買い戻したのだとか)していますが、なんとその全容がデータベース化されていてオンラインでの閲覧が可能なのです(下記リンク参照)。


Universitätsbibliothek Heidelberg: Große Heidelberger Liederhandschrift

http://digi.ub.uni-heidelberg.de/diglit/cpg848?sid=8d432e77b54e9f24589982095ef8f5cd&ui_lang=eng


すごいですよねー、これ!

マネッセ写本の最大の魅力である、牧歌的で、ユーモラスな脱力系の挿絵をあますところなく公開してくれているので、肝心の詩歌はわからずとも結構楽しめます♪

しかも、ハイデルベルクは旧西独だったので、サイトにもちゃんと英語バージョンが!^^


マネッセ写本のことは何も知らずに、このヘタウマ?ながら見る人を惹きつける平面的イラストに魅せられて切手を持っていた私…しかも、マネッセ写本の切手を発行しているのはドイツだけでなく、フランス・スイス・オーストリアそしてリヒテンシュタインと、私が把握している限りでも5ヶ国(厳密にはドイツと西ベルリンそれぞれで発行されているので、6ヶ国というべきかも)に及んでおり、ヨーロッパでは根強い人気なんですよね~。

その証拠に、ピンタレスト Pinterestではマネッセ写本がらみのボードが30以上もあるし、私がピンタレストの自分のボードに載せているマネッセ写本の切手たちもいろんな人にリピンされているんです。

こんなに魅惑的なのに、日本では一般にその存在を殆ど知られていないのが不思議なくらい。邦訳が出版されたらいいのにな~。Page 115rなんて、一体何を投げようとしているんだか…ゴーダチーズのように見える黄色い塊は、何なんでしょう?ってな感じでツッコミどころ満載なマネッセ写本、いつか日本語版が出ることを期待しています。


私が現在持っているマネッセ切手は、全部で16枚。

まずは比較的最近発行されたこの切手、アリエノール・ダキテーヌを描いたもので、2004年3月にフランスからおそらく彼女の没後800年を記念して発行されたものと思われます。


ドイツ旅行記 番外編 ②~Codex Manesse_f0328009_02182004.jpg

この切手はズバリ、Page 63rの絵ですね。

王妃としてはさほど華美とはいえない王室ファッション(余談ですが…王室ファッションといえば、最近プリンセスを出産したばかりのイギリス王室キャサリン妃のファッション、個人的に好きです!ダイアナさんも、生きていたらかわいい孫の誕生をさぞ喜んだことでしょう…)に、しなった体躯が不思議な魅力を醸し出しています。椎間板ヘルニアで完治しない腰痛持ちの私にはできないポージングだなぁ^^;

因みに、次のPage 64rにも彼女が描かれているのですが、ここではティアラもマントも身に着つけていないかわりに小脇に子犬を抱えていて、こちらの方が宮廷内の世俗的な日常が感じられて私は好きです。ついでに、同じ子犬を抱えたPage 76vのシーンもまた、意味深で印象的です。


次に、1970年2月西ベルリン発行の寄附金付き4枚組切手…これは私にしては珍しく、未使用タブ付きでコンプリートしてます。


ドイツ旅行記 番外編 ②~Codex Manesse_f0328009_14052308.jpg
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Page 70vの10ペニヒ切手↑が、私が最初に入手したマネッセ切手だったように記憶しています。

おそらく、愛らしい衣装と柔軟そうな体に惹かれたんだと思います。でも、切手より原本の方が女性のドレスの色調が艶やかで美しい気が…


こちらは西ベルリンと同じ1970年2月に、ドイツ(旧西独)で発行された寄附金付きの4枚組のうちの3枚です。

残念ながら50ペニヒだけ欠けていて、コンプリートしていません。そしてその50ペニヒが、実は一番ステキだったりします。


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旧西独のマネッセ切手4枚組、チョイスの基準が西ベルリンのそれとは全く異なっていて、見た目の面白さとかわかりやすさにポイントが置かれている感じです。

真ん中の20ペニヒの図柄は、同じ1970年にリヒテンシュタインからも発行されています。


その切手を含む1970年8月発行のリヒテンシュタインのS/Sは、額に入れて飾っておきたくなるような美しいシートでした。

800年記念(800 Jahre 1170-1970)となっているのは、ミンネゼンガーであるヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ生誕800年ということのようで、このシートは彼の詩の挿絵の切手で構成されている、という訳です。



原本に忠実な多色刷りが映えるようシートの周囲をゴテゴテ飾り立てたりせず、すっきりとシンプルに仕上げたS/Sは、当時のリヒテンシュタインの高度な切手印刷技術に依るところが大きかったかもしれません。

リヒテンシュタインからはこのS/S以外にも1960年代にいくつかマネッセ切手が発行されているのですが、マネッセの挿絵を切手化したときの見えがかりがちゃんと計算された上で、切手で表現するには難しいと思える図案を果敢にチョイスしており、称賛に値する出来ばえなんです。


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この4枚は1963年12月に発行されたもので、いずれもなかなかユニークなのですが、特に右上の30サンチームの必死の逢瀬を描いた一枚がマンガっぽくておもしろくて…古今東西、禁断の恋に懸ける恋人たちのひたむきな想いは変わらないものなのですね~^^; 左下のラブラブ乗馬デートも楽しそうで、何だか微笑ましい!

1961年と1962年に発行されたマネッセ切手もとてもステキで、いつか入手できるといいなぁと願っています。


それにしても…ドイツ旅行中、たまたま雨宿りがてら立ち寄ったミュージアムショップでたまたま手に取った本からここまでいろんなことが引き出せるなんて、旅って思わぬ見聞が広がって楽しいものだな~と改めて感じました。

旅行中の雨ってうっとーしいことこの上ないけど、あのときは雨のおかげで有意義なひとときを過ごすことができたと感謝しています。


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by meewmeew | 2015-05-05 00:00 |

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