アイルランドから戻ってきて、はや一年経過…
『アイルランド滞在記』、どうにもなかなか筆が進まないのは何故なのでしょう^^;
PCの不具合も確実に理由のひとつではあるのですが、正直2014年にドイツを旅したときほど「ブログに認めておかねば!」という気持ちが強く働かないんですよね~。
まぁアイルランドへ行ったのは短期語学留学のためであって、『ハーフティンバーの家並とバウハウスデザインを巡る旅』という明確なテーマがあったドイツのときとは全く異なるシチュエーションではあるのですが。
とはいえ、認めておきたいと思うことが全く何もなかった訳ではなく。
今回はダブリン市内の隠れヒーリングスポットのことを、薄れつつある記憶をがんばって辿りながら書き留めておこうと思います。
前回のグルメレポで登場した、ダブリンで最も有名で人気のあるラブリーなケーキショップからデイム通り Dame Streetの向こう側に渡ったところに、かつてのイギリス支配の象徴ともいえるダブリン城があります。
この一帯はもともと9~10世紀にヴァイキングが砦を築いて町を作り上げた場所ながら、1170年にノルマン人に征服されて1204年にジョン王によって城が建立され、その後700年に及ぶイギリス支配の拠点となっていた…というアイルランドにとって喜ばしくない歴史的背景があるのですが、城内の建造物のうち1228年頃に建てられたレコード・タワー以外は全て火事などによって一旦消失し、18世紀から19世紀にかけて再建されたものなのだそうです。
その、城内唯一のオリジナル建造物であるレコード・タワー(うっかり逆に言ってしまいそう…^^ゞ)は「いかにも中世のお城にありがち!」な無骨というか屈強そうな佇まいが目を引く塔ではあるのですが、私の関心は断然、お隣にある優美なゴシック様式のチャペル・ロイヤルの方に向けられました。
このチャペルが完全に復元されたのはつい最近、1989年のことで、そう聞くと歴史的な重厚感はなさそうに思われますが、実際は特徴的な装飾など細部に渡ってなかなか見ごたえのある外観なのです。
石灰岩を積み上げた外壁の色調も美しく、ゴシックならではの華美になりすぎない設えが私好みでした^^
内部はこれまたため息モノのヴォールトにオーク材の装飾、ステンドグラスと非常に魅力的だったのですが、ミサが行われていたため撮影は控えた次第です。
で、ここからが本筋でして。
城の裏手に広がるダブ・リン・ガーデンことダブリン庭園こそが、知る人ぞ知る隠れヒーリングスポットなのです。
入口付近で、いきなりラベンダーの芳しい香りに引き込まれてしまった私。
真夏の昼下がり、老若男女がケルト模様に刈られた芝生に寝そべって寛いでいるこの場所こそが、実はダブリン発祥の地だったのです。
ここはかつてリフィー川の支流・ポドル川岸にできた水溜まりがあったところで、それを当時の人々が"Dubh linn"(ダブ・リン=アイルランド語で『黒い水溜まり』の意)と呼んだことがダブリンという地名の由来なのだそうで…
…ということは全て帰国後に知り得た情報でして、現地にいたときはそんなことはつゆ知らず^^ゞ
私が訪れたこの日はちょうど芝生に寝転がって読書するのに最適な天候だったので、こんな人も見かけました。
とても分厚い本を一心不乱に読んでいた彼女、学生さんでしょうか。ラフな服装で、日光浴も兼ねていたのかもしれませんね。
そういえば、ヨーロッパの旅先で公園や庭園を訪れるともれなく読書に耽る若い女性を見かける(何故か、決して男性ではない)のですが、以前ノルウェーで見かけた妖精のように愛らしい女の子のことは未だに忘れられません。
ねっ、かわいいでしょ~。
アイスブルーのニット帽がカーリーな金髪によく映えて、すっごくキュートだったんです!
その昔『読書する女』という映画もありましたけど…読書する男じゃイマイチ絵にならないから、かなぁ^^ゞ
庭園を半周すると、先程のレコード・タワーやチャペル・ロイヤルを遠くに望む絶好のポジションにいくつかベンチが置かれていて、ここでひと休みすることに。
決して好きな花ではないけれど、世界中どこでも見かけるアガパンサスがベンチ脇で勢いよく咲いていたのが印象的です。
しかし、私がすっかり癒されたスポットはこのケルト模様の芝生…ではなく、こことダブリン城の間にありまして。
まるで秘密の花園への入口、とでもいうようなグリーンのトンネルがとにかく鮮やかで眩しくて。
陽の光が差しこむとまた、生い茂ったグリーンのグラデーションが美しく、暫く立ち尽くして見とれてしまうほど…ここだけ時の流れが緩やかな気さえしてしまいます。
脇の階段を上っていくと、ダブリン城の裏手からこのグリーンのトンネルを突っ切って庭園へと続く渡り廊下のような通路があって、これはもう最高にステキなデートコースなんじゃないか、と。
因みにダブリン城の裏手は、こんなにカラフルなんですよ~。
レゴブロックのお城のような感じ、とでもいいましょうか^^;
…で、この通路を歩いて庭園まで下りてゆく途中、思いがけずかわいい子に出くわしました!
イギリスの国鳥ロビンことヨーロッパコマドリです。
本物を見たのは初めてで、何とかして止まった瞬間を撮影したかったのですが、鳥ってすぐ動いちゃうから撮るのがホント難しい!
しかも近づくと飛んでいってしまうのである程度の距離をおいて撮らねばならず、すっかりボケボケな写真になってしまいました^^ゞ
でもかわいかったなぁ。
地上まで下りる手前の通路から芝生を眺めると、刈り込まれたケルト模様がグラウンドレベルよりくっきり見えました。
トリケトラにサークルが組み込まれたデザイン、でしょうか?刈られたところをなぞって自転車で走行してみたい…なんて思うのは私だけでしょうね、きっと。
この庭園の周囲にはカフェ(庭園の西側に隣接するチェスター・ビーティ・ライブラリー内)とティールーム(ダブリン城内)もあり、いずれもなかなか穴場でいいところみたいです。みたいです、って書いたのは、私が訪れたときはどちらも閉まっていた(休みだったのか営業時間外だったのか、定かではありませんが)ため実際のところどうなのかはわからないから、なのです。スミマセン^^;
ダブリン市内の知られざるヒーリング・スポット、ダブ・リン・ガーデンの話は以上ですが、本来ならばせっかくお目にかかったロビンちゃんの切手を紹介して締めくくりたかったんですよね~。ロビンちゃんのかわいい切手はDDRやイギリスなどいくつかの国から発行されていますが、残念ながら私、アイルランドから発行されたものを持っていないんです…以前、普通切手として発行されていたのですが、私の手元になく。
なのでかわりに今回は、いかにもアイリッシュなこの緑色の切手をアップします。
2015年2月に発行されたセント・パトリックス・デー(聖パトリックの命日)の切手です。アイルランド語で書かれたLá Fhéile Pádraigは"the Day of the Festival of Patrick"の意で、あえて英語でなくアイルランド語で書かれているあたり、アイルランドの人々にとってこの日がいかに重要であるかを物語っているような気がします。
私の中ではここ数年、セント・パトリックス・デーのキャサリン妃の装いが素晴らしいと感じていて、どうしてもそこに着目しがちなのですが^^
セント・パトリックス・デーの記念切手はアイルランドで毎年発行されていますが、この、2015年のデザインは近年で最も秀逸だったのではないかと思われます。
現在はダブリンに住むイギリス人イラストレーターのスティーヴ・シンプソンがデザインを手掛けており、彼自身のHP上でその制作過程も公開されていました。ご本人は変更されてしまったフォントに納得いかないみたいですけど、実際、フォントのインパクトって大きいですからねー。
いずれにしても、アイルランドといえばやはりグリーンなのでした。